Saturday, March 21, 2009

古典を読め、ということのバカらしさ


今月号のEsquireを読んだら、内田樹が古典を読め、と騒いでいました。

その由となるのが、ケインズが市場原理主義の限界を80年前に喝破していたとか、マルクスの共産党宣言を読むと、今の資本主義の状況が見事に描写されている、ということらしいのですが、正直、こんな浅薄なことしか今の世の中への提言として出せないことが、やっぱりアカデミーの限界なのだな、という気が、心底してしまいました。

ケインズもマルクスも、ある程度教育を受けた人間なら、だいたいどんなことを言っていたかは、先刻承知でしょう。人間の度し難さは、教育を受けてケインズの警告もマルクスの予言も、ある程度知っていたにも関わらず、同じ過ちを犯してしまうことにこそあって、いまさらケインズを読んだり、マルクスを呻吟したりして、その問題が解決するなんて思っているのは、なんというか、一言で言って、「ああ、この人はゼンゼン世の中のことわかっていないんだな」、という気がしてしまいました。

個人的には、今回の金融危機は、かつてのオランダのチューリップバブルをはじめとして、人類が何度も何度も経験してきた貨幣経済のマージナルラインを超えた経験の一つであって、今回も同じ様に人類はそれをリカバリーするだろうし、そしてしばらくたてば、また同じ様なことをやると、私自身は確信しています。

そして、同じ様に確信しているのが、以前のバブル崩壊時にも「古典にかえれ」とむなしく喚き立てて、実効性のある、ないしは新しい方向性へ人類を導けなかった、パワーを持たない学者が大勢居たのだろうな、ということです。

米国主導の市場原理主義の追求が、今回の経済危機を招いた。ふーん、そうかも知れません。でも短期的に見てれば、今回の経済危機がいろいろな問題を招いていることは確かですが、人類の歴史において市場原理主義が、社会にもたらしてきた貢献に触れないで、一時的なマイナスだけ取り上げるのはアンフェアでしょう。

市場原理主義には功罪が相半ばします。罪の部分だけを取り上げて古典にかえれ、というのは、本当に教育を受けた人間が言うことではないでしょう。

弱小チームだったヤクルトを日本一に導いた野村監督の言葉を紹介しましょう。曰く、

同じことを何度もやってうまくいかないんだったら、ちょっとはやり方をかえてみろ



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