Friday, April 3, 2009

福祉国家の闘い 武田龍夫

福祉国家の闘い 武田龍夫

最近、日本が進むべき方向性の一つとして北欧諸国の社会モデルが参照できるのではないかと思って、いくつかの本をパラパラと読み進めています。まだ、数冊程度しか目を通していないのだけど、現時点での印象は「マスコミを通じて喧伝されている北欧諸国の理想国家的イメージは、かつてのソ連のそれに対して朝日新聞が行ったプロパガンダと同じだな」というもので、ちょっと落ち込んでいます。

そういう状態で、今日、JBIC(国際協力銀行)において排出権取引のインフラ作りをしている友人と一緒に長い昼食を取ったのですが、その際に僕が「でもスウェーデンって90年代に原発は全廃するって決めて、で火力発電に依存せざるを得なくなるけどCO2排出量は増やさない・・・じゃあ経済成長は捨てるのか、というと、これはこれで追及する、という無理難題を掲げて国全体で何とか推進しているんだから、スゴイよね」という話をしたところ、「ああ、それ、昨日ちょうど発表されましたけど、スウェーデンも原発の全廃やめることになったんですよ」とのこと・・・驚愕。実は原発廃止先進国のドイツでも1998年に原発をなるべく早期に全廃する、ということで議会の合意が成立しているのですが、実質的にはこの計画も崩壊していて原発の稼動を高める方向で行政は調整に入っているのだそうです。但し、ドイツでは緑の党が議席を結構取っているので、調整が難航しているらしい。

要するに、CO2の排出をなるべく減らす、という京都議定書が発効になって段階で、火力発電に頼れなくなったということらしいのです。その友人はJBICの前職が東京電力なのですが、曰く「先進国で原発を使わない限り、CO2の排出を減らすのは絶対に不可能」ということでした。僕も「プラントで生産されるエネルギーのうち、末端までデリバリーされるエネルギー総量の歩留まりを改善する、ということは考えられないの?」という質問をしてみたのですが、この点についても「既に日本ではこの歩留まりは96%程度であって、大きな改善インパクトを期待できない」とのこと。また、他の自然エネルギーに関しては、「日本全土に太陽光パネルを敷き詰めても、東京都で必要とされるエネルギーすらまかなえない状況」ということでした。なんだか難しいらしいのです。

音楽家の坂本龍一は「原発は廃止せよ」と言う一方で「CO2は減らせ」と騒いでいますが、その友人に言わせると「専門家は殆ど聞いてないです。ハァ?っていう感じですね」とのこと。やっぱりそうか。
ということで、若干ヨーロッパモデル、北欧モデルに対する幻想が僕自身の中で崩れていくここ数週間です。

■女性の社会進出⇔家庭崩壊⇔高額の税金は表裏一体の関係- ルンド大学の教授:ポールソン女史は言う- 昔の大家族は老人や病人、職のない家族の面倒を見てきた- スウェーデン女性たちが家の外で働くようになり、生産に寄与するようになったが、その家の中の仕事は消えない・・・それは誰か他の人々、つまり公的機関が引き受けることになった- こうして結果的には公平で平等な社会を作り上げられた- しかし、実際に女性たちを待っていた労働市場は賃金給与も低く狭い市場であり、そのために社会福祉国家は伝統的な家庭支出をかたがわりしているが、それは公的支出の7割にも達し、スウェーデンの総所得の半分になっている- 率直に言って、家庭を崩壊させたコストは高くついたといわざるを得ない

■経済成長なくして福祉はない- なぜスウェーデン型福祉が行き詰ったか- 理由としては、人口構造の変化、福祉公的部門の肥大化、福祉官僚主義の弊害の表面化、福祉そのものが生み出す悪徳や利権、といった点が挙げられる- 福祉は大変なコストがかかり、自律的に拡大運動を続けるため、経済成長がないと福祉を維持できなくなる- 80年代に入ってすぐ、スウェーデンの公的部門の支出はGDPの60%を占め(50年代は30%程度)、170万人の雇用を集めるに至った(スウェーデンの労働人口は410万人!!!)

■国民全体が豊かな中産階級- 殆どの国民が別荘、モーターボートを保有- 年間の夏休みは一ヶ月が標準的- 日本よりも広い国土に890万人の人口でかつ高品位な鉱物資源が無尽蔵にあり、水力も豊富で、国土全体は森林に覆われている・・・加えて民度の高い優秀な国民・・・・基礎体力としての国力が日本とは異なる

■ 一方でネオファシズム的な側面も存在- サルトルは、スウェーデンをネオファシズムの国として、非常に危険視していた- 事実、あまり知られていないが1934年から1976年までの間に、強制断種、不妊手術が、6万人以上のジプシーやラップ(スカンジナビア半島北部の少数民族)民族、身体障害者等を対象に行われていた- 但し、この問題でスウェーデンを責めるのは簡単だが、当時はノルウェーでもデンマークでもスイスでも・・・・つまり広く一般に「当然」と考えられていたことを我々は忘れてはならない

■中立とは武力で勝ち取るものである- スウェーデンは、1813年のナポレオン戦争以来、現在まで180年以上もの中立を守り抜いた世界でも類例のない国である- クリミア戦争でもスレスウィッヒ戦争でも第一次大戦でも第二次大戦でも、その後の冷戦でも一貫して中立を維持してきた- 一方で、スウェーデンでも、またスイスもそうだが、国民皆兵の徴兵制度があり、また国力に不相応なほどの重武装国防力を有している- (そういえば、SAABは日本では自動車メーカーとして有名だけど、もともとは航空機メーカーで、スウェーデン空軍の戦闘機はSAAB製であることを思い出したりする。国が膨大な軍事費を使うことで、購入国が一国でも戦闘機を作るだけのスケールを維持できるということなのかも知れない)

■ノーベル賞は外交の武器でもアリ、一種の輸出産業である- 選考には従来から非常に問題があると言われている- 特にヒドイのが文学賞で、イプセン、ゾラ、トルストイ、リルケ、カフカ、ジョイス、グリーン、プルースト、ストリンドベルイ、志賀直哉、谷崎潤一郎、三島由紀夫、井上靖らが受賞していない一方で、受賞者を並べてみると???の印象をぬぐえない- 平和賞は完全に政治のツールになっており、もっとひどい・・・・キッシンジャーもサハロフもアラファトも佐藤栄作も選考委員会で対立が起こり、アラファトでは激論の末にノーベル賞選考委員の辞任という事態まで発生した- 人道的なもの、例えばシュバイツァーやマザーテレサ、アムネスティ・インターナショナルや国境無き医師団の際にはあまり異論が無いが、では例えばガンジーはなぜ受賞しなかったのか、不思議に思わないだろうか?答えは単純でイギリス政府に遠慮したから

■ 将来に不安のない福祉国家だからと言って幸福ではない- 例えばスウェーデンの自殺率は10万人当り20人程度で、欧州の国としては平均的(旧東欧諸国はおしなべて高く、例えばルーマニアは10万人当り70人程度)- 犯罪も多い・・・しかも一人当たりGDPが高まるにつれて犯罪率は高まっている!!- 例えば刑事犯罪のここ数年の平均は日本が大体170万件であるのに対して、スウェーデンは100万件だが、スウェーデンの人口は日本の6%程度でしかない- 強姦事件は日本の20倍以上、強盗は100倍以上で実にアブナイ国

■ スウェーデンの女性は怒っており、それが男性のタイヘンなストレスになっている- スウェーデン女性は美しい・・・女優みたいなのがそこら中にゴロゴロいる- グレタ・ガルボやイングリッド・バーグマンもスウェーデン女性で、要するに八頭身の西洋人形みたいのがそこら中にいる、と考えればいい- 米国の心理学会では、一般的にスウェーデンが固有的に示す病理的な側面の原因は女性の強さにある、と言われている・・・・心理学用語の「男性的抗議」が強く出ているのである- 独立願望が強く、依存を嫌う。情緒面で不安定で荒廃し、しかも理想とする男性を自分で育てるという考え方を持たない。利己的で冷淡で永遠に欲求不満(為念:すごい書きぶりだが僕の意見ではありません)- だから、日本人女性と結婚したスウェーデン男性たちの特集が雑誌で組まれ「彼女たちはここまで夫に尽くしてくれる、耳かきもしてくれる」というオノロケ記事が出た際に、女性団体から雑誌社に抗議が殺到した・・・曰く「日本人女性は世界の女性解放の敵だ、我々は奴隷が主人に感じる愛情を否定する!」- つまり、ストリンドベルイを生んだ国ということである

■結果として社会進出は、「一応している」と言うべきで、実際にはまやかしの面もある- 数字で見る限り、スウェーデン女性の社会進出は世界一である- 国会議員の約4割が女性(EU平均は2割程度)- 1999年秋に組閣したペアソン内閣は女性閣僚の方が多かった- しかし、こういった数字の下で、本当に女性が社会的に慈しまれているかどうか、という点では疑問である- 例えば家庭の中における女性の位置づけは、日本より遥かに低い上、夫に比較して所得も低いために、つねに劣等感に苛まれている- また労働率が女性の社会進出率が80%と言われて喧伝されるが、約半分はパートである- 政治家への進出もクオタ制による割り当て選挙のおかげであり、要するに実力で勝ち取ったものではない、という後ろめたさが常に付きまとっている・・・・男性が実権を握っている政府の中で、うるさい女性を黙らせるために制度を少しイジって満足させる、という戦略が見えてくる- 結果的に、女性の社会進出は大きく偏向しており、職種は特定部門の20種類程度に集中している一方で、男性の職種は160種程度に広く分散している- また経済・金融・産業界の女性トップは一人もいない- 結論から言えば、スウェーデン女性の社会進出は、まやかしの表面的なものでしかない

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