Tuesday, May 12, 2009

電通 赤字決算に思うこと

楽観的な視点と、悲観的な視点をそれぞれ。

まず、楽観的な視点から。

107年ぶりの赤字、というちょっとアジテーティングな告知のされ方をしていますが、保有株の評価額の下落を得損げ計上したことによる最終赤字で、営業利益はガッツリ出している。 つまり本業ではちゃんと儲けが出ている。

評価損をどの程度、いつ計上するかは経営上の戦略的な判断なので、今の時期に吐き出してしまうほうが、景気要因に帰せられる分、IR的には処理しやすいはずということで、今やったのじゃないでしょうか、というのが一つ。

もう一つが、広告主企業の業績が悪化する中で、広告費の削減圧力、なかんずく、電通の食い扶持である広告コミッションに対する圧縮圧力ないしは透明化圧力が高まる中で、今この時期に赤字決算を公表することで、広告主に対しても「うちもタイヘンなんですよ~」という言い訳が立ちやすいため、営業現場的にはむしろ好材料の提供とも考えられます。

電通は、その高給ぶりと隠然と発揮できる権力から、世の中にはやっかむ人が多く、掲示板を見てみても「ざまあ」といったことが多く書かれていますが、まさにそう思ってもらうことが電通経営陣の狙い、ということも言えます。

そういう点を考慮すると、赤字決算だからって大騒ぎするほどのものじゃない、というのが楽観的視点。

で、赤字決算という事実そのものよりも、経営陣が発表した来期の見通しが、悲観的視点。

どういうことかというと、この赤字決算に対して、来期は「選挙と世界陸上があるので、好転材料はある」というステートメントなのですが、これって環境要因次第で経営成績がよくなるって言っているだけであって、この事態に対して経営として主体的に何かを行っていく、というステートメントが全く見られない。

これはちょっとどうかと思う。

拙著でさんざっぱら書いた通り、マスメディアの売上が中長期的に減少していくのは、マスメディアが獲得しているアテンションの数がそもそも減少する、つまり仕入れ在庫が減少するということなので、構造的な要因だ。

この構造的な要因に対して、何ら具体的な打ち手を対外的に出せていない、というのは、ちょっと心配になってしまう。

まあ、本当の奥の院では、そういった構造的な変化に対する打ち手も検討されているのでしょうが、とは言え、IR的な観点からも、来年の業績好転要因が「選挙と世界陸上」というのは、いかにもさびしいのではないか?

というのが悲観的視点。

No comments:

Post a Comment