Monday, June 22, 2009

グーグルに勝つ広告術2

前著「グーグルに勝つ広告術」に続く、続編をそろそろ書きませんか、という有り難いお誘いを光文社の編集者の方から頂いた。

近々、実際にお会いしてどのネタで行くか、という方向性の擦り合わせをすることになりますが、何らかの形で20世紀後半にほぼ完成した経営学の枠組みが、なかなか今後は難しいのではないか、という様な話が出来ればと考えています。

かといって経営学の基礎を勉強しても意味がない、ということを言っているのではありません。

武道では「守・破・離」という言葉がありますが、これの「守」をやるだけでは競争に勝てない時代になった、ということです。

1970年代くらいまでは、日本では米国で開発された最新の経営科学に関するリテラシーが低かったので、一種教条的に教科書を勉強して実践すれば、勉強していない人や会社に対してアドバンテージが産まれていました。

つまり、上記で言う「守」だけで勝てたんですね。「守」というのは、師範に教わった型をしっかりと守って行くことを指しますから、ビジネススクール等で学んだ教科書的なマーケティングを行うだけで勝てた時代だったと言えます。

ところが、90年代以降くらいになってリテラシーのばらつきが少なくなってくると、今度は「守」だけでは勝てなくなってくる。型を覚えた上で、あえてそこから外れる。「離」が必要になってくる。

その典型的な例をアップル社に見ることが出来ます。
アップルはもともとスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックによって創業された会社です。ジョブズもウォズニアックも、経営学の素養は無い、一種のギークです。米国の創業経営社には良く見られることですが、二人はアップルがある程度以上の大きさになった段階で、プロの経営者を招き入れること決定し、その結果CEOに就任したのが当時ペプシの社長をやっていたジョン・スカリーです。

ジョン・スカリーはもともと広告代理店につとめておりペンシルバニア大学ウォートン校のMBA保有者でした。ウォートンはそれほどマーケティングに力を入れている大学ではないですが、まあ経営学の素地としてはジョブズやウォズニアックと比べるべくも無いでしょう。ちなみに、この時のジョブズのジョン・スカリーへの口説きは、三国志において劉備元徳が諸葛亮孔明を口説いたエピソードを思わせます。

ジョブズは、スカリーに対してこう迫ったと言われています。
このまま一生、砂糖水を売りつづけるのか、それとも世界を変えるチャンスをつかみたいか?
Do you want to sell sugar water for the rest of your life, or do you want to change the world? 

そして、その後の経緯はご存知の通りです。当初はDynamic Duoとして理想の補完関係と言われたコンビは、結局スカリーによるジョブズ追放という第一幕の終演を迎えますが、アップルの経営はその後悪化し続け、ジョブズの復帰による再生という第二幕の途上に、今はあります。

僕は様々な場所でこれを言ったり書いたりしていますが、ジョブズのマーケティングはムチャクチャです。つまり型破り、「破」なんですね。一方でスカリーの経営は、基本的に「守」にです。それも極めて完成度の高い「守」。その完成度の高さは、彼リーダーシップの元、ペプシの売り上げがついにコカコーラを抜くまでになった、ということでも証明されています。

しかし、その完成度の高いマーケティングの技術を持ってしても、現在の競争環境で勝利を収め続けるのは難しい・・・・では、何をどう考えて行けばいいのか?

それを、読者と一緒に考えて行く様な本を書ければいいかな、と思っています。

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