Monday, January 11, 2010

アンドロイドサイエンス

読了。

自分とそっくりのアンドロイドを作り、ジェミノイドと名付けた阪大の石黒浩先生の本。

アンドロイドサイエンスの最前線にいる石黒先生の試行錯誤ぶりを通じてはっきりとわかったのは、人間がいかによく出来ているか、ということ。80年代に人工知能がホットに騒がれた時期がありましたが、この本を読むと人間とコミュニケートできて多様な用途で活躍できるようなアンドロイドはここ10年とか20年とかの時間軸ではとてもじゃないけど実現しないということがよくわかります。

”人間に近いロボットを作れば作る程、いかに人間がよく出来ているかということがわかるようになる。進化すればするほど、人間と遠のいて行く感じがする”

”ゼロックスのパロアルト研究所で「パーソナルコンピューター」という概念を初めて生み出したアラン・ケイにロボットの将来性について訪ねると「おまえはロボットを開発する立場の人間だろ。その人間がそんなことを聞いていてどうする、と言われた。ケイ曰く、今のインターネット社会はケイがパソコンの概念を生み出したときから想像した通りのものだ。なぜならケイは自分が思い描いたコンセプトを実現することに努力してきたから。だからすべてが予想通りだと、こう言うのである。これにはアタマをがつんと殴られた気がした。ロボットの開発をしながらも、ロボットがなかなか普及しない、キラーアプリケーションが見つからない中で、自分はどこか評論家になっていたのかも知れない”

”世界で最初となった小学校のロボット実験は様々な発見をもたらした。最初の発見はロボビーは一週間で完全に飽きられる、ということである。最初の三日間はつねにロボットの周りは子供たちであふれていた。しかし三日を過ぎるとだんだん遊ぶ子の数が減って、一週間もするとごく少数の子供だけがロボビーと遊ぶ様になり、その数は二週間をたっても一定であった”

”面白いのは、一人の子供がロボビーと遊ぶ時間は逆に日を追うごとに増えるということだ。残った子供は辛抱強くロボットと遊んだ結果、ロボットからいろいろな動作を引き出すことが出来る様になるらしい。ロボビーには300近い動作パタンがプログラムされている。しかし。周りにたくさんの子供がいて視聴覚機能が安定的に使えない状況ではロボビーの動作はかぎられてくる”

”もっとも驚きだったのは、アンドロイドの動作によって不気味さがまったく変わることである。たとえば、眠いという感じを表す動作は、非常に自然に再現できた。しかし、たとえばうなずく、という動作はどうしても不気味になってしまう。うなずく、という動作は単に首を縦に振る、というだけなのだが、首を縦に振ると、どうしても体全体が揺れてしまう。首を勢い良く上下させながら体を振動させるその様はまさにゾンビそのものだった。だいたいからして、どこからどう見ても人間なのに、まったく動かずに静止しているということ自体がものすごく不気味である”

”NHKの福島アナをコピーして作られた新型アンドロイド=リプリーQ2は、それほど不気味ではなかった。最初に作った4歳の娘のアンドロイドは、いわゆる「不気味の谷」のどん底に居たが、このアンドロイドは大人にはそれほど違和感がない。これは娘のアンドロイドがもっていた強烈な不気味感とは大きく異なる。事実、あれだけ娘のアンドロイドを嫌がり、「あのアンドロイドがあるのならもう研究室に遊びにいかない」と言っていた子も、リプリーにはそれほどの拒絶感を示さなかった。”



ゼロッックス

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