Thursday, November 11, 2010

Don't settle!

(写真は勝海舟)

スタンフォード大学でアップルのCEOスティーブ・ジョブズが行ったスピーチが一時期話題になりました。僕も何度か聴いたのですが、その中で特に印象に残ったのが

Don't settle!

というメッセージです。

これは、日本語にすると「定住するな」ということになりますが、文脈を踏まえて意訳すれば、「丸くおさまるな、落ち着くな」といったようなことになるかと思います。

では「落ち着くな」というメッセージを、キャリア上の問題としてどう考えてみればいいのでしょうか?僕は、この言葉は「自分の人生を変化させる様な機会があったら変化する方向へ積極的に舵を切れ」といった意味で捉えるといいのではないかと思います。つまり「オープンで居る」ということです。

しかしそうなると、これはなかなか心理的にはしんどいということになりますね。オープンということは、未知の領域に踏み出していくことも多々あるということになるわけですが、未知の領域に踏み出すのはやっぱり不安だし、踏み出してみると強いストレスがかかることは容易に想像できます。

なので、この

Don't Settle

というメッセージを実現するためには、「未知の領域に踏み出すことの不安に耐えられる、もしくはそもそも不安にならない」様にしないといけないわけです。

では不安にならないために何が必要なのか、というと、これがいわゆる「スキル」になるわけですね。世の中で仕事を成し遂げていくために求められるファンダメンタルなスキルセットが、もしその人にあるのであれば、その人はオープンな状況を楽しめるようになるはずです。

この「スキルセットがあるからオープンな状態を楽しめる」という人物の典型像が坂本龍馬と勝海舟ですね。

この二人は二人そろって非常にオープンな人ですよね。人と出合ったり、人を出会わせたりすることに躊躇なく突進していきます。自分を憎んでいたり、嫌っていたりする人にも平気で会いに行っちゃう。何でこんなに躊躇なくオープンで居られたのか、ということを考えてみると、やっぱり剣術の達人であったということが、非常に大きく利いていると思うんですよね。

龍馬は、よく知られているように千葉道場で北辰一刀流の免許皆伝を取っていますね。ものすごく強いわけです。なので、人に会いにいくときに「乱暴な人だったらどうしよう・・・斬りかかって来たら、こうやって逃げるか・・・?」といった様なことは、恐らくあまり考えずに、パッパッパとフィーリングで会いに行っちゃっていると思うんですよね。なぜなら無茶苦茶強いから。これは、よくわかる話ですね。

では勝海舟は?ということになるのですが、こちらは実はあまり知られていないのですが、勝も直心影流の免許皆伝なんですよね。実は無茶苦茶強い。人を斬るかどうかはともかく、人から「絶対に斬られない自信」はあるわけです。だからあんなにオープンに、自分を殺そうとしているかも知れない人とも、どんどん会っちゃうわけですね。

勝海舟は、自分が直心影流の免許皆伝でありながら、自分の刀の「つば」と「さや」を和紙をよってつくった「こより」で結んでいました。強く刀を抜こうとすればこよりは切れます。ただ、そこに一瞬の心のブレーキがかかる。斬ればさらなる恨みを買って敵を作る。斬って目の前の敵をねじ伏せても日本の問題は解決しない。斬るより逃げる、説得する。心にそう決めて自分の免許皆伝の腕を封印したんですね。ただ、いざとなれば少なくとも「斬られない自信」はある。その自身が彼のオープンさの礎になっているのだと、僕は思うんですよね。

勝のオープンさを支えた剣術の技術は、現在では語学であったり、問題解決の技術やマーケティングの知識だったりします。そういう、どこの会社に行っても自分が発揮できる「自分の剣」を持つことが、この時代においてオープンで居続けることの、やっぱり必須の条件なんだなと思う次第なわけです。

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