Sunday, November 6, 2011

絶対君主がイノベーションを加速する

「スティーブ・ジョブズ 下巻」を読了し、同時期に読んでいた「チャーチル 危機のリーダーシップ」と併せて思ったのですが、イノベーションというのは絶対君主型の組織でないと実現できないのかも知れません。

ジョブズの本を読むと、いかに彼が無理難題を押し付けて組織を限界までストレッチし、イノベーションを実現してきたかがよくわかりますし、チャーチルの本を読むと、彼が第一次世界大戦に際して海軍大臣という「海軍しか動かせない立場」のために、いかに苦労したか、一方で第二次世界大戦の際には首相と国防大臣を兼務したことで、軍事、経済、政治の三つを統合的に動かすことでスピードと戦略的整合性を維持できたかということがよくわかります。

日本でイノベーションの上手な企業と(かつて)言われたのはソニーやホンダですが、これも強烈な個性を持つ創業者に引っ張られてのものですよね。よく知られるようにウォークマンは技術者やマーケティングセクションの人間が「まったく売れないからやめとけ」と考えていたのに、創業者の盛田昭夫が「こういうのが欲しい」と頼んで生まれたものですし、ホンダについても、まだ四輪車作ったことないのに「F1で優勝する」と宣言するとか、まあそういう引っ張り方をするわけですね。

と、こういうわけで、イノベーションは強烈なリーダーのもとでないと加速しない、という仮説をサポートするファクトが沢山集まってきてしまっていて、こうなるとどうも独裁的でビジョナリーなリーダーの元でないとイノベーションは加速しないのではないか、と思わざるを得ないわけです。

これはつまり、逆に言えば、90年代以降に流行ったカンパニー制や権限委譲は、イノベーションをむしろ停滞させる要素になるということです。確かにカンパニー制をいち早く導入して経営学者の礼賛を浴びたソニーで、それまでの様なイノベーションが一気に停滞していますし、グーグルでもそういう傾向が(外から見ると)ある様に感じられます。事業部制の組織にして権限を委譲すると、横串を通して各事業のシナジーを生み出すのは経営トップの仕事になるわけですが、当時の出井社長の様な求心力のないサラリーマン社長だとそれも難しかった、ということなのでしょう。

これは組織は民主的でフラットであるべきだという、論理を超えた哲学を持っている僕の様な人間には大変残念なことなのですが、少なくとも世の中の事実を集めればイノベーションというのは一定程度軍隊的な機能別組織でないと加速できないのかも知れません。

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