安易病の蔓延

最近、ますます「安易病」が蔓延しているように思います。
例えば、本屋をぶらついていると、やたらと「一日で身につく論理思考」とか「英語はたった四つの単語で話せる」といった、「すぐに出来ますよ」系の本が目に付きませんか?
これらの本の著者にとって、論理思考が出来るとか、英語が話せるというのが、どのレベルのことを差しているのかわからないのですが、日常の仕事で論理思考を使いながら、海外のお客さんや同僚と英語で仕事をしている人にとっては、そんなことがあり得ないのはお日様が西から昇らないのと同じくらいに自明なことであって、こういった書籍を買って読む人は本当に気の毒だな、と思ってしまいます。
英語も論理思考も地道な修練を長年積み重ねることで初めて使いこなせるようになるもので、それを避けて手っ取り早い要領ばかり学んでも結局は時間の無駄になるだけでしょう。
この場合、罪作りだと思うのが、こういった「安易系」の知識やノウハウをいくら小口で勉強しても、それが積み重なって高いビルになることは決してない、という点です。小説やビジネス書を原書で読む、映画を英語字幕で見る、といったことは、とても小さな学習効果しかないかも知れませんが、繰り返していればやがてそれが積み重なって大きなビルになります。しかし、こういった安易系の小さな努力ではそれを期待できないのが哀しいところです。
軍事においては、戦略資源の逐次分散投入は最も忌避されるものですが、こういった安易系の努力はまさに、自分の時間と頭脳という戦略資源を逐次分散投入し、無為に浪費していることに他なりません。