Friday, March 14, 2014

バッハは「ショッパナ」がいい、という話

どうも。

最近仕事がしっちゃかめっちゃかに忙しい上、ネット上の学校の教材作成やら雑誌の原稿執筆やら書籍の原稿執筆やらで、ブログをまったく書けていなかったのですが、先日、大雪が降った際に

。。。これではいかん。。。

と思い、今日は頑張って書きます。

で、何を書こうかと考えたのですが、最近あらためて愛情が深まりつつあるバッハについて書こうかな、と。

バッハについてはいろんな人が思いっきり愛情を込めて書いているので、ちょっとそれとは違う角度のことを書こうかと思います。

で、それはバッハの「ショッパナの曲」の良さについてです。

バッハは数多くの曲を、曲集というパッケージで書いていますが、あらためてこれら曲集の最初の曲=ショッパナを並べてみると、そこはかとない共通項が見えるような気がするんですよね。なんというか、柔らくて神々しいのです。

と文章で綴っても伝わらないと思うので実際の曲を聴いてもらいましょうか。典型的には平均律かなあ。まあ難曲ばっかりの曲集ですけど、最初の曲は驚くほど柔らかい。

これはリヒテルの演奏ですね。僕は平均律のレコードを六枚かな?、もう少しあるかも知れませんが、いずれにせよそのくらい持っているんですけど、この演奏が一番柔らかいですね。今年は雪が沢山降りましたけど、僕は休日に雪が降るとホットワインを作ってこれを聴きながら窓外の景色を眺めるのが大好きです。

ちなみに柔かさ、という点ではこの演奏に僅差でシフが続くという感じで、ビリッケツはもちろんグールドということになります。


平均律というのは、それまで倍音の構成だけで作り上げられていた純正律から。。。。まあ興味のアル人はWikipediaで調べてみて下さい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%BE%8B

乱暴に言えば、音楽に置けるHTMLみたいなものです。これが出来たおかげで12の音の長短、〆て24の調の全てに行ったり来たりできるようになったという、まあ音楽上のイノベーションですね。

このイノベーションを最大限に活用するとどんな音楽が出来るか、というのがバッハの挑戦で、したがって平均律は24の曲から成立しています。ハ長調=C Major=C Durから始まって、ロ短調=B Minor=h mollで終了します。楽曲はまことに構築的で、聴いてもそうだし、楽譜を見るとさらにそうなんだけど、まったく数学、というか論理学の世界ですね。全ての音に必ず意味がある、という。

このVは全曲入っているので、一曲目の柔らかさと二曲目以降の構築美を比較して聴いてみると面白いと思いますよ。使っている和声は、初学者でも分析できる程度の優しいものです。ドッペルが少し入っている程度でね。なのにこの深さ。マジックだよね。

で、次はこれかな。チェロ組曲ですね。
演奏はマイスキーになります。


僕のブログを読んでいる人は、お、以前はヨーヨーマを紹介していたのに、と思われるかもしれませんが、まあ甲乙つけがたい演奏ですよね。チェロは調弦の関係でそれほど自由に調が選べるわけではありません。解放弦がCーGーDーAになっていますから、これらの音が多用される調性でないと難易度が高くなり過ぎちゃうんですよね。従って、平均律みたいなアクロバチックなことはやっていません。一曲目はト長調で、チェロでもっとも弾きやすい調の一つと言えます。

チェロ組曲では、一曲目の位置づけは平均律ほどには際立っていないように感じるかも知れません。平均律では、明らかに一曲目が他の曲から浮いちゃっている感じですが、チェロ組曲ではそのようにはあまり感じられない。ちなみにクラシック愛好家の多くがさもしたり顔で絶賛するカザルスの演奏は、僕は全然いいと思いません。あれは楽器を弾けない人が褒める演奏だよなあ、とつくづく思いますね。精神性の高さって、なにその日本語という。弾けない人ほどそういう「言葉」を持ち出すんですよね。もう笑止千万です。

はい次。ゴルドベルクです。こちらは変奏曲になります。曲数は32。最初の曲で提示されたシンプルなモチーフを、早めたり遅くしたり、上下をひっくり返したりしてさまざまな変奏をつくっていくという、なんだか作曲科の学生向けに書かれた教科書のような曲集です。そう言えば坂本龍一さんも、芸大作曲科の時代には変奏曲の授業でゴルドベルクを使ったとおっしゃってましたね。

それはともかく。演奏は、やっぱりグールドのがいいですね。これは1981年のものです。


これ、パッケージが美しいんですよね。何が美しいって、最初の曲と最後の曲はまったく同じなんです。つまり、どこかに直線的に向かうのではなく、循環してくるんですよ。これは平均律も似ていて、ハ長調から始まって、どんどん離れていって、最後はハ長調一歩手前のロ短調で終わるという構図になっていますよね。循環構造なんです。

しかも構造がフラクタルになっている。最初の曲と最後の曲は32小節で、曲集全体は、この最初と最後の曲で用いられた各小節の低音をモチーフにした30曲と最初と最後の曲の合計32曲で構成されています。この循環をたどる旅を歩みつつ、やっぱりこのゴルドベルクの魅力は、一曲目に提示されたモチーフの強さだなあ、としみじみ思うんですよね。

映像はグールドの演奏です。グールドは1955年と1981年とで、二回ゴルトベルグを演奏していますが、年齢を経るということが演奏にどういう影響を与えるのかを考える為のいいサンプルになると思いますよ。



と、ここまで来て息切れです。メモを見返してみると、この先、フレンチ組曲、フーガの技法、マタイ受難曲、パルティータ、イギリス組曲、フランス組曲、インヴェンション、ヨハネ受難曲、ロ短調ミサ曲と続けたかった様ですが。。。。寄る年波には勝てないということで、次回に繰り越します。

でも、こうやって並べてみると、各曲集のなかでもやはり最初の曲が、そのクオリティ、神々しさにおいて突出しているよなあ、というのは感じていただけたのではないでしょうか?

それではまた!




No comments:

Post a Comment