Tuesday, July 15, 2014

専門家+素人の組み合わせが最強?

D・ワイスベルクが2008年に発表した実験結果がとても面白い。

ワイスベルクは、脳科学の素人、脳科学の初心者(学部生)、脳科学の専門家(修了生)の三つのグループに対して、次の組み合わせの四つの説明文を読ませて説得力を評価させた。

           A=正しい説明文
           B=正しい説明文+説明と関係ない脳科学の情報
           C=誤った説明文
           D=誤った説明文+説明と関係ない脳科学の情報

さて、各グループはこれらの説明文をどのように評価したか。

まず素人は、脳科学の情報があってもなくても正しい説明文、つまりAおよびBを「正しい」と評価している。おお、ヤルじゃん。一方で、誤った説明文については、誤った説明文=Cを「誤っている」と評価したものの、脳科学の説明が付加された誤った説明文=Dについては「Cより説得力がある」と評価している。

つまり○△×で評価すれば、素人の評価は

                 A=○
                 B=○
                 C=×
                 D=△

であった。う〜ん、惜しい。

次に脳科学の専門家はどうであったか。さすがというべきか、彼らは関連しない脳科学情報に惑わされることなく、正しい説明文を最も説得力があると評価し、脳科学の情報が付加された文章は逆に「少し説得力がおちる」と評価している。うむ。さらに、誤った説明文については、脳科学の情報があろうとなかろうと「誤っている」という評価を下している。つまり、専門家の評価は

                 A=○
                 B=△
                 C=×
                 D=×

で、つまりは正解ということになる。

さて最後に初心者である。彼らはなんと、正しい説明文については評価せず、関連しない脳科学の説明が付加された説明文=Bをもっとも説得力があると評価した。一方で、誤った説明文についてはこれを一蹴したものの、ここでもやはり脳科学の説明文が付加された説明文=Dには「一定の説得力はある」と評価している。つまり、初心者の評価は

                 A=△
                 B=○
                 C=×
                 D=△

となるわけで、言うまでもなく三グループのなかで最低の解答である。

この実験結果は、モノゴトのありようを正確に見抜くに当たって、半可通の知識はかえって目を曇らせる要因になりかねない、ということを示唆しているように思える。組織で一番欲しいのは本当の専門家と本当の素人であって、中途半端な半可通ばっかりは危険なのだ。

僕はよくいろいろなところで「イノベーションは素人が起こす」と言っているけど、最近になって、この「素人」の定義がかなり拡大解釈される傾向があることに気づいた。平たく言えば、単なる「初心者」と「素人」を読み替えているケースがあるということなんだが、これはまったくの誤解で、僕がこの文脈で言っている「素人」というのは、いわば「プロの素人」とでもいうべきものであって、まっさらの曇りのないレンズで物事を透徹に見極めるコンピテンシーを持った人物のことなんだよね。

こういう人と本物の専門家が一緒に組むことで初めてイノベーションは成立するわけであって、中途半端な「初心者」をそろえても決してイノベーションは駆動されないよ、ということをワイスベルクの実験結果は示唆してくれているように思うのです。

あなたの会社、大丈夫ですか?

中途半端な仕事を数年〜十数年やった中途半端な半可通がドヤ顔で偉そうなことを新入社員や中途入社に語ってる組織は要注意ですよ。



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